それまでは、全然恐怖に思ってなかった。 こんな事があったから、恐怖症になったのだ。
小学校の頃、ウチの運動場には、滑り台が2種類あった。 人間を囲うようにして、左右の両脇に囲いがある普通のタイプと、 お尻を乗せる為だけの鉄の棒が2本、平行して並ぶ滑り台。
私は、見晴らしのいい、後者の方でよく遊んでいた。 ある日、その滑り台が人気者になり、定員オーバーやないの? っていう位の人数が上に乗ってきた。
ドンドン滑らないと、上の人が落ちそうである。 その中に私もいたのだが、落ちる恐怖はなかった。 人一倍、背が高かった私は、低かった友達に比べたら、 頭1つ分位の差があった。 なので、ちょっと風が吹くと、まともに顔に受ける。 気持ちよかったに違いない。
そのうち、自分の番が来て、滑ろうとした瞬間、 後ろにいた誰かさんが、押したのだ! 押したらアカンねんって。こういう所では… 身に染みた事だろう。
私は、残念ながら、目の前にある滑り台で滑らず、 真下に落ちてしまった。
今なら、打所が悪ければ、骨折だったかもしれない。 私は、意外と頑丈だった。
しかし、運動神経は、鈍かった。 足も擦りむいたが、私は、顔から落ちたのだ。 落ちた瞬間、鉄の味が口に溢れた。 そう、鼻血である。 止まらなかったので、恐怖のあまり、ビャ~~~!と泣いた。
鼻の頭を擦りむき、非常にみっともない顔をしていた。 保健室の先生は「よしみちゃん、鼻が高い証拠やな~」 と慰めてくれたが、全然、立ち直れない。 「あんな高い所から落ちたのに、骨折してないって凄いな~」 とも言うてくれたが、立ち直れない。 私の涙は、情けなさも加わり、しばらく止まらなかった。
地面と直面したその事件以来、高い所は苦手なのだ。
あと、向こう側が見える階段も、その滑り台と同様で、 苦手なのだった。 階段ってのは、足を乗せる部分と、 それに垂直してある奥の板で成り立つものではないか?
なぜ板をつけないのか?不思議でしょうがない。 たまに行く髪結屋さんの階段が、これなのである。 私は、いつも1階がいいって言うのだが、 なぜかその階段で2階へ上らされる。
奥の板がない為に、足がはまったらどうするん?って アシスタントの人に聞いた事がある。 それはありません。 淡々と答えられてしもた。
下りる時よりも上がる時の方が、足が震える。 どこもかしこも、この階段にするのは、 もうそろそろやめようではないか。
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