ウチの実家の近所には、歩道橋がある。 国道1号線沿いだからか?結構デッカイ。
ちいちゃい頃、その歩道橋の足元の階段で、よく遊んだ。 1段~飛べた。はい、2段~飛べるよ~。3段~まだまだいけるよ~ 大体4、5段上からピョンッと飛んで、満足していたのだが、 成長するにつれ、段数は増えた。
小学生になり、学校へ行くのに、その歩道橋を渡らないといけない。 上まで上がった事がなかったのだ。 歩道橋の足元で、チョロチョロしてただけで、頂上まで行った事がなかったのだ。
この話を思い出すまで、ずっと「すべり台」のせいで高所恐怖症になったと思っていたが、 いやいや、そうやない!もっと前から怖かった。
高い所が怖かった私は、歩道橋の頂上まで行くのにも怯えていた。 一気に階段が続いてる訳ではなく、途中踊り場のようなのがあるので2段階になってる。 そこから上はドキドキもの。 内心怖かったが、毎日使わなきゃいけないので、練習した。
頂上まで上り、振り向いた瞬間、手に汗を握ったのを覚えている。 振り向かんとこ… 問題はそこから! それから先、その高さのまま、国道1号線の幅を歩いていかなければいけない。 幸い大きい歩道橋だったので、まん中を歩けば、何て事なかった。
行きは、集団登校だったので、町内のお兄さんやお姉さんを先頭に、 行儀よく並んで歩く。行儀よく並んでるので、まっすぐ歩けて問題はなかった。
でも、いつもいつも、まん中を歩ける訳ではない。 帰りは、1人だったり2人だったり3人だったりする…
前から犬を連れた人が来た日にゃ、大騒動だった。 でっかい犬も怖いし、歩道橋の下が見える端っこなんか、もっと怖い。 犬の方をじぃ~っと凝視してしもたもんやから、犬も私をじぃ~っと見る。 (いや~、あっち行って~~)と心の中では叫んでいるのだが、 こういう時に限って、性格の悪い飼い主だったりする。
私の様子を見て、面白がって、ウリウリ~って犬の手綱を持ち替えて、 こっちに寄せようとするのだ。そんなんしたら、私の歩けるスペースがなくなる。
私の限界は、結構狭い。これ以上柵に近付いたら落ちる!と思い、 ピコーンピコーン、危険信号である赤いランプが点滅。 犬と歩道橋の幅、この2つの恐怖が最高に達した時、
途端に、ビャァ~~~!!とわめき、叫び、大混乱な私。 ハハハ!怪獣や。 下を歩いてた人が見上げる程、でっかい声でわめいた事もある。
しばらく歩道橋というものに慣れるまで、腰を曲げ膝を曲げ、 狭い洞くつにでも入っていくような格好で、 遠くの景色を見るなんて余裕はなく、まっすぐ前だけを向いて、 少々うなだれ気味に歩いていた。 そんな様子を、みんなが黙って見てる訳がない。 友達は呆れてたと思うが、家族には笑われた。
悔しいが、怖いもんは怖いのだ。 これが、なかなか克服できず、何度も夢に見た事がある。
夢に出てくる時は、めっちゃ強気なのだ。 高い所なんか怖い訳がない! この位の高さが怖くてどうする??なんて正反対なのだ。
歩道橋の柵の上に立って(そんな事してはいけません。)平均台~とか、 柵からぶら下がって(こんな事もしてはいけません。)刑事ドラマみたいに、 ヒョイッとトラックの荷台に乗ってみたり、それはそれは考えられない事ばっかりする。 夢の中では、全く何ともないのだ、不思議な事に。 しかし、そんな夢から覚める瞬間、手の平にジワ~っと汗をかく。
そんな裏腹な夢を見てるうちに、上級生になり、町内の班長になってしまい、 私が先頭を切って、下級生を引き連れる事になった。 背中曲げたり、腰を曲げたり、膝を曲げてる場合ではない。 下級生には、妹もいる。妹に馬鹿にされては困る。 いろんな意地によって、少々克服できた。
そんな私の歴史がいっぱい詰まった歩道橋、未だに健在である。 今でも怖いのだ…トホホ 前から大きい気の荒らそうな犬が来たら、ギャァー!!と私が吠えるかもしれない。
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