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蒲鉾屋さん

  • 執筆者の写真: neki neki
    neki neki
  • 2019年2月3日
  • 読了時間: 3分

私の初バイトは、自宅の蒲鉾屋にて。 これが、結構過酷であった。 自宅だからって、もちろん甘えが許されない。 食べ物屋さんなので、不潔はもちろん許されない。 抜けた髪の毛が、食べ物に入ってしまわないようにし、 手を清潔にする。

その辺は、わきまえていた。 しかし、実際にお店に立ったのは、ある高校生の夏の日。 この日初めて。 お客さんが、こんなにわがままだとは思わんかった。

いつも穏やかな五条通りが、戦いの場になる陶器祭である。 私は、自宅なのに、1人じゃ不安やったので、友達を誘った。 友達と二人で、お店番をする事になった。

タイムカードを作ってもらい、友達は朝9時にガチャンと記録する。 私は、自宅なので、残念な事に、朝御飯を食べたら、 すぐにガチャンであった。

ゆっくりする時間がない。 朝から、すでにお客さんは、行列を作っている。 お店では、天ぷら類を朝に揚げる為、揚げたてを食べたいのだろう。 ビニールが溶けそうな位、熱いのである。 もちろん、ビニールには入れられない。 紙袋にドサドサ放り込んでいく。 それを、真夏の暑い時期に、注文を聞いては、袋に入れ、 代金をいただき、 「ありがとうございましたー!」と笑顔で言う。 これのくり返し。

住み慣れた東京では、あまり見ないが、関西の方ではイラチが多い。 陶器祭の日は、大阪や奈良等遠方からのお客さんも来られ、大賑わい。 特に、大阪のおばちゃん(残念な事にいつもハプニングが あるのはそうなのだ)が、横から割り込んで入ってきて、 「ねえちゃん、ねえちゃん!」と攻める。 この攻撃に、耐えるのが大変であった。

まだ揚がってないものを「欲しい!」と言い、 売り切れたものを「欲しい!」と言う。 そして、差し出されるお金は、決まって1万円札なのだ。 「ごめんなぁ~大きいのしかないねん~」と一言あれば、 ま、仕方ない…と思えるのだが、 財布の中身が見える状態で探り、千円札もあるのに、出さない。 そんで、お釣を出すのに、モタモタしてると怒られる。

こんな過酷な仕事は、他にはない。 ウチには、合わへん!とその時思った。 テンポが違いすぎる。

イチャもんをつけてきたり、喧嘩をしかけてくるのは、 なぜか決まって大阪のおばちゃんであった。 お客さまは、神様ではあるが、若い私には、耐えられず、 売られた喧嘩を買う事もあった。そして、両親に呆れられるのである。

温和な友達も、次第にキレそうになっていた。 辞めたくなるのだが、たった4日間の仕事である。 過酷ではあるが、二人で我慢した。

ウチのお店番は、なぜおばちゃんがやってるのか? 何となくわかる気がした。

しかし、その4日間だけでは済まなかった。 専門学校を1年で辞めたのだが、 その後の1年間、ひたすら我慢して お店番をしたのだ。上京するため。

人間、手に届きそうな目標が、目の前にある時は、 少し位の我慢はできるのである。 その年の夏、やっぱり、大阪のおばちゃんは、 私に喧嘩を仕掛けに来た。 まるで、嫁いびりに遭うてるかのようであった。 半泣きになりながら、我慢し、夏を乗り越え、秋に上京したのだった。

よく考えてみると、ウチで製造して、販売もして、発送もして… 小さく狭い我が家で、それをやってるんやから、凄い事かもしれない。

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