跳び箱を思い出した。 体育の時間は、大っ嫌い!ってのは、もう御存知の通り。 でも運動会は好き。水泳も好き。球技は結構好きだった。 小学校の頃は、サッカーもあり、雪が舞い散る冬の日も元気に参加した。 バスケットボールは、背が高いのを生かし、楽しんだのだが、 残念ながら、よく喧嘩を吹っかけられた。 正々堂々と試合をした事がない小学生だった。 私は、ゲームは好きやけど、喧嘩は嫌いである。 プロレスのようなバスケのゲームに、よく泣かされた。 感情が加わった女子のゲームは、それはそれは怖かった。
さて、今回の話題は、跳び箱。 怖がりに、どんくさいのもプラスして、跳び箱の1時間は、 2時間も3時間も長く感じられた。
大体、5、6種類程、高さが組まれており、一番高いのは、8段程。 タンスのようである。 そして、一番低いのは、3段。 こちらは、まるで、お膳である。
できない人は、ひとまず、馬飛びをやってみよう! と言われ、友達に馬になってもらい、飛んでみる。 そう、これは楽勝にできるのだ。
跳び箱になると、幅が広いし、奥行きもある。 こんなんが飛べたからって、何の役にたつのだろう。 JACに入って、スタントマンをする予定もなく、 ジャッキーチェンの映画に出たいとも思った事はない。 私は、音楽さえできればいいと思っていた。
なのに、均一的にみんなできるようにさせられる。 私だって、できる望みのあるものは、意欲的にチャレンジする。 しかし、望みが薄すぎるのだ。 なので、非常に及び腰なのだ。
跳び箱の寸前まで、ダダダーーーーー!!と走る。 ダッシュは得意中の得意。 しかし、踏み込む所で、勢いは終わり、ドッコイショと乗っかる。 しばらく、そうやってると、体育の時間は終わるのだ。 なので、わざとドッコイショをやる。 はぁ~何回目やろ??とか思いながら、ヤレヤレ、ドッコイショ。
そんな様子を、先生は黙って見てる訳がない。 声をかけられた。 「吉田さん、3段の方でやってみなさい。」と。 そう、始めは、みんな4段なのだ。 ここから、できる人は、もっと高い跳び箱へ…とうつっていくのだが、 4段の跳び箱は、結構人が多い。
全然、やる気がないような人は、下ろされるのだ… 3段へ行ってみた。はぁ~もうやりたくない… と思いながら、やってるのが見え見えやったらしい。 3段の跳び箱に行かされた人達を呼んで、先生はレクチャーをはじめた。
跳び箱に、手を置く位置を、チョークで書かれたのだ。 言われるがままそこに手を置くと、不思議と飛べるようになった。
「うわっ!あれ??何??」 こんな感じである。 途端に拍手され、ちょっといい気になる。 さっきのは、まぐれかもしれん。 もう1回やってみよ…とやってみると、できるのだ。
あらら~~~先生凄い! と、その時思っていた。さすが先生や!とも思った。
できるようになったので、その勢いで4段の方へレベルアップした。 さっきより、かなり優越感に浸っている。 ずっと4段の跳び箱にいた人より、はるかに勢いはついている。 そんな中、私の番が来て、いのししのごとく、突っ込んでいった。
シュパッと決まった!
ほらほら、調子に乗り出したぜぇ~~ 「できるじゃない~」と先生に言われ、ますます調子に乗る私。
さて、お次の5段からは、踏み台と跳び箱の間に、少し隙間がある。 勢いは絶好調、調子も絶好調の中、5段へと向かった。 3段からズンズンのし上がってきた私。 気分もノリノリである。
5段にもなると、別にできなくても恥ずかしい事はないと思いつつも、 緊張しながら挑んだ。 私の番が来た。(ジョーズのテーマソングのようなBGM ON♪)
思いっきり、勢いつけてダッシュし、手を置く位置が書いてない跳び箱に 手を置き、反動で身体が移動した瞬間、身体のどこかがひっかかり、 上から跳び箱ごと落ちた。 跳び箱から落ちる人は何人か見たが、跳び箱ごと落ちる人はいなかった。
そこまで、勢いつけんでも…という所だろう。 いかに、私がノリノリだったかが、伺える。 でっかい跳び箱の枕みたいなんと一緒に落ちてしまうなんて… 背が高いだけに、派手やったらしい。トホホ あちこち痛くて、落ちたというショックも大きく、以来、跳び箱4段に格下げ。 4段もろくに跳べなくなってしまった…
1時間のうちに、天国と地獄を味わった。 無難にドッコイショとやってる方が、痛いめに遭わんかったのにぃ~と思いつつも、 跳べた時の喜びも噛み締めつつ、又、元に戻る。
その後、跳び箱を横に置いて、足を開脚せずに、それを跳ぶという技もあったが、
それこそ、跳び箱の枕を蹴飛ばしそうである。
小学校を卒業して、もう随分経つが、未だに跳び箱の技を活用した事がないぞ。
鉄棒も。
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