今までの生活とは、一変したその日。 大きい音が出せる喜び、プロの人達と一緒に混ざって演奏する喜び、 演奏する喜びをちょびっと味わい、 個人的にめっちゃ楽しんでしまったオーディション。
Let it beを演奏した後、「お疲れさま~~」と帰ればよかったが、 そうはいかない。 曲が終わるや否や、ボーカルのお二人が、私に質問してきた。 「あたし達の事、知ってる?」と。
あたし達?このボーカルさんは、メンバーらしい。 しかし、私は、多少知ってるつもりでいた。 随分昔、深夜の音楽番組に出演してはったのは、 このバンドに違いない!と、思い込んでいたのだ。
それは、野外で、2、3曲ほどしか聞かなかったが、 派手な衣装で、野太いメロディー。 それしか覚えてないが・・・ なので、「知ってます。○○△△□□・・・」と説明したら、
エミさん「あたし達、そんな番組出てないわ」と一言。 (え~???嘘やん!出てたやん!)と思いながらも、 「うっそ~(思わず言うてしもた)そうですか?おかしいなぁ・・・」 と曖昧な返事をした。
その後、レコード会社のディレクターと、私自身の活動の話をし、 「ライブをしてるなら、見に行きたい」とおっしゃってくれた。 和やかな面接であった・・・ しかし、私の頭から「そんな番組出てないわ」がグルグル。 おかしい!絶対、おかしい!
非常に、いいムードで帰ってきたのだが、私はとても混乱していて、 自分の中で、決着つかないので、色々知りたくなった。 上々の事も知ってるとはいえ、その程度やったので、 帰りにレンタル屋さんへ行った。
アルバムがたくさん出てた。 ジャケットを見て、まず目が飛び出そうになった。 あっ!!さっきの人や~~~!! そっかぁ、そうやったのかぁ~
思わず、レンタルして帰って、初めて聞いた。 こういうのは、今まで聞いてへんかったなぁ~ 面白~♪
そして、例の深夜番組のビデオを探しまくった。 あ~!!あったあった~~~~!!! おそるおそる見てみると・・・画面に映ってる人は、 ネーネーズやった・・・ ちゃんと下に「ネーネーズ」って出てるやん! なんで、上々やと思ってたんやろ???
知らないという事は、恐ろしい事や。 知ってる人に逢うなら、多少緊張するが、 全く知らない人ってのは、緊張の「き」の字もないのだ。 絶対受かってやる~!なんていう気負いの1つもなかったし、 プロの人達と一緒に演奏させてもらえるんやから、楽しんでこよ~! と、これしか考えてなかった。
普段通りの私が、バンドには、何とも奇妙やったらしい。 「なんじゃ?こいつ」って感じやったらしい。
こんな状態やったので、受かるとは全く思っていない。 人違いってのは、結構失礼やもんなぁ… 失礼な事をして、受かるなんて思う訳なかった。
その後、決定するまでに、ステージを見せてもらった。 ステージが終わったら、楽屋に来るようにと言われ、 初めて、乾杯の席に入らせてもらった。 その時の緊張した事・・・
私の間違いの一部始終を知ってるのは、もちろん私1人である。 誰も、その事には突っ込まなかったので、ホッとしたが、 緊張のあまり、いただいたビールもあまり飲めへんかった。 どうも、私は人と違う所で、緊張するようである。
こんな私を、ヒョコッと入れていただき、 いっぱいアホな事をし、ちょっとだけ曲を残して、 あっちゅう間の4年8ヶ月。 時間が経つのが、めちゃくちゃ早かった。
実際、ネーネーズの方と御一緒する事もあり、お酒の席で、 上々颱風をネーネーズと間違えた!という話をしたら、 めちゃくちゃウケていただき、いつでも歓迎よ~っておっしゃった。
こうして、おバカな人生は、続くのである。
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