次なるターゲットは、意外なものだった。 どういうきっかけで見つけ、なんで応募したのか?全く覚えがない。
ミス日本のように、有名なものではない。 そこら辺は、ちゃんとわきまえていたようだ。 しかし、なんでこれだったのか…
ミスくの一コンテストであった。
1人じゃ恥ずかしかったのか?妹も一緒に応募させたようだ。 書類審査等経て、最終審査の通知が来た。 滋賀県の甲賀の里。忍者村にて行われると書いてあった。
その通知を見て、妹と大笑いした。 「来たでー、何か嘘みたいやな~」 「どーするー?面白そうやけど・・・」 「何もらえるん?」 と口々にワクワクしながら、相談した。
審査には、水着審査があるのだ。 そこで、かなり躊躇していた。
しかし、妹はノリノリであった。 とりあえず、行っとくか~ そう二人で決めたのだが、当日、足はかなり重かった。
ひとまず、京都駅まで行く。 ここで私がポロッと、 「な~やっぱりやめへん?逆向いて、神戸の方へ遊びに行こう~」 と提案したのだ。 妹「え?神戸?それもいいけど…」 私「そっちの方が、楽しくない?何か曇ってきたし、雨降りそうやん」 妹「そやな~そうしよっか~」
こんな風に、妹の気を神戸に向けるようにしたのにも関わらず、 優柔不断で、最後の決定ができず、かなり悩んだ末、 せっかくやし、後で何かのネタになるかもしれん。 とりあえず、甲賀へ行っとこか~という事になった。 そう、ウチらは、大体、何かのネタになるからという理由で 事を決めるのだ。漫才師を目指していた訳ではないが。
電車に揺られ揺られ、どんどん山奥に入っていく。 途中、これ単線ちゃうん?という状態になり、雨もポツポツ降ってきた。 私「なぁ~今からでも遅くないな~逆向いてみぃひん?」 妹「おね~ちゃん、もうここまで来たし、行こう。いいやん」 度胸が座ってるのは、妹の方だった。
妹に説得され、半分うなだれながら向かった。 京都駅で行くかどうか、かなり迷ったので、大幅な遅刻をしていたのだった。 ますます行きにくい。
神戸とえらい違うな~と大笑いしながら、到着した。 駅に送迎バスが到着していた。 一般のお客さんと一緒に乗り込む。 数分後、忍者村に到着。
もう他の人達は、着替えた後のようだった。 そう、いきなり忍者装束に着替えさせられていた。 ウチらは、これが目当てだったのだ。 この忍者装束をいっぺん着てみたかったのだ。 しかし、遅刻していった為、もう説明してくれる人はいない。 着方がよくわからん。 一般のお客さんに混ざって、モタモタ準備した。
もっとカッチョイーもんやと想像していたのだが、 私が着た色は、忍者らしくない色。 黒とかグレーを想像してたのに、明るい色だった。 妹は、赤だったらしい。 はい、1つ夢壊れました~という感じである。
吉田姉妹を含めて10名程が、審査される。 なんとなく顔を合わせたが、あんまりみんなパッとしない。 それは、妹も思ってたらしい。 「ごめんなぁ~みんな~、今回は私がいただいとくわ~」 吉田姉妹は、それぞれにそう思っていた。あつかまし。
エントリナンバー○番、吉田よしみです~京都出身… のような自己紹介をし、特技や趣味を聞かれ、短距離と言うと、 (当時は、バンビ吉田と言われた位、短距離は得意だったのだ。) 審査員に「じゃ、走ってみて下さい」といわれ、 狭いステージの隅から隅までダッシュした…何だかなぁ~… この何だかなぁ~と思う気持ちが伝わったお客さんに、クスっと笑われた。 だって~ただ走っただけやし~
そして、お次!妹の番が来た。 妹は、当時運動神経はとてもよく、私と違って床運動も好きだったのだ。 側転をかまし、逆立ちまでした。おぉ~って歓声が上がった。 姉の私は、補助として足を持ってあげた。 何だかなぁ~私…
全てにおいて、何だかなぁ~がついてまわるのだ。
その後、水着審査があり、それはほとんど覚えてない。 なんだかなぁ~がつきまとう中、1人だけ (この人が、ミスちゃうやろか?)という人が浮き出て来た。
最後に審査員の方がこんな事を言うたのだ。 「ミスに選ばれたら、職業は忍者となります。 これから忍者としての修行に加わっていただきます。」 と。 えぇ??忍者~?嫌や~~そんなん! ウチは、JACとは無縁なん!そういうのはできひん!ちゅうの! サバイバルものは、苦手やの! と、心の中ではワサワサしていた。
そうこうしているうちに、審査の決定までにお時間を…となり、 一度、控え室に戻る。 言葉少な気に、妹とそれとなく言葉を交わす。 賞は、ミス、準ミス、特別賞とある。 私「なぁなぁ、ミスは、あの子とちゃうかぁ?」 妹「やっぱりなぁ、そう思うやんなぁ?」 こそこそそんな話をし、 ごめんなぁ~準ミスいただいとくわ~と、 やっぱり、あつかましい吉田姉妹であった。
少しの休憩の後、発表が行われた。 まず、特別賞!ドロドロドロ…(確かドラムロールが鳴ったはず) パンパカパーン!○○○○子さん! 吉田姉妹「え?」 同時に(?なんで?)と思う。 しかし、賞品は、忍者グッズで、どうしようもないおもちゃだった。 いらんいらん、そんなんいらん!←あつかましい。 しかし、特別賞をもらった人は、嬉しそうな顔をしていた。
続きまして、準ミスは…!ドロドロ…(一応、お約束という事で) 吉田姉妹は、二人ともニヤついていた。 自分やと思ってるのだ。この自信は、どこから来るのか? この時点では、もう職業=忍者の話はどっかへ行ってた。 パンパカパーン!△△△△子さん! 吉田姉妹「ぇ?」 あれ?おかしいな。そっか、次か~ 相変わらずあつかましい。
何をもらってはったのか?は忘れたが、ミスより準ミスの方が いいな~という記憶だけはある。 忍者にならなくてもよかったのかもしれない。
さて、いよいよミスです!ドロドロ… 私は、もう違う!と思った。 京都駅からここまでの事や、ステージの隅から隅までダッシュした事、 しょうもない事を喋った事等、いろいろ走馬灯のように浮んだ。 パンパカパーン!□□□□子さん! はぁ~やれやれ…
どこのミスコンでも、きっとこういう人はいると思う。 若気の至りとはいえ、自分でも思い出すと大笑いしてしまうが、 参加している間は、妙な自信があるのだ。 今の私が、その頃の自分の写真等を見ると、通る訳ないやん!と思うのだが、 当時の私は、自分がミスになれる!なんて思ってる辺りが、アホである。
その頃の吉田姉妹は、二人ともそうだったのだ。あつかましい。
帰りに、とてもあやしいドロップの瓶を1つもらい、 うなだれて帰った。帰ってから、そのドロップを見て大笑いした。 まるでグリコのキャラメルである。 いや、グリコのキャラメルの方がいい。 もし、餓死しそうな事があったら、 このドロップで数日しのげるというような物だった。 しかし、食べてみたら、なんと不味い事! 非常に不味かったのに、なぜか捨てられず、数年どっかの引き出しに 入ったままになっていた。
それから数カ月後、私は近所のブライダルサロンが、深夜番組に出るというので、 かり出された事がある。 お客さんの1人として、インタビューを受けてほしいと言われたので、 近所やし、いっか~と軽い気持ちで参加した。 いろんなドレスを着せてもらい、ワイワイ楽しかったが、 お化粧をしてなかったので、素の顔だった。
深夜番組とはいえ、人気番組やったので、 お店も大繁盛したらいいな~と思い、オンエアーをチェックした。 あぁ…素の顔で何やらボソボソ喋ってる。 残しときたくないな~これ…という訳で、録画したけど、すぐに消した。 誰も見てませんように… ひたすらそう祈ってたのだが、次の日、意外な人から電話があった。
忍者村の村長さんだった。 「吉田さん、見ましたよ~!昨日の番組!お元気で活躍されてるじゃないですか~」 と。いや、活躍って…近所のお店やっちゅうの! 私は、何よりも、私の事を覚えてくれてはったので、かなりビックリした。 ちょっとでも候補に上がったんやろか?と、どこまでもあつかましい私だった。
神戸へ行くべきか?忍者村にしとくべきか?こんなに悩んだ事はないが、 あの日、神戸へ行かず、忍者村へ行っておいてよかった。 こんな所で、ネタになるとは…夢にも思わんかったぞ。 しかし、これを機に、ミスコンに応募をするのをやめたのだった。 本物のくの一になりたかった訳でも、モデルになりたかった訳でもなかったから。 ここで、踏み止まってよかった。 あ~恥ずかしい
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